自主公開プログラム

2015年3月第二週

第10回:人にして信なくんば、その可ならざるを知らざるなり

  論語では、マネジメント、リーダーシップについて述べている箇所がたくさんあります。
  私が学んだ中で印象に残った言葉を現代風に解釈して紹介します。
  この言葉の後には、「大車(牛車〕ゲイ無く、小車(馬車」ゲツなくんば、其れ何をもってかこれをやらんや。」と続きます。牛車を引っ張るために牛に掛ける棒(ゲイ〕、馬車を引っ張るために馬車にかける棒(ゲツ:馬車を引っ張るためにどうしても必要なもの)が無いとどうにもならないと続きます。即ち、円滑な人間関係には、どうしても必要・大切なものとして「信=信用・信頼」が欠かせないということを強調しています。
  孔子は、子貢にマネジメントの要諦を「食、兵、信」で教えました。現代風で言えば「報酬、戦略、信」の三要素がマネジメントに必要ですが、最後まで保持しなければならないのは信用ですといっています。これは、「信なくんば、たたず」(信用が無いとどうにもならない)といっています。表題にある「人にして信無くんば、その可なるを知らざるなり」〔人として信用できない人間は、どうしようもない人間だ〕と同じことです。同じことを、牛車と馬車をたとえにして教えています。この言葉は、孔子流マネジメントの原点であり、昨今でもよく政治家が引用したしますので耳にする言葉でもあります。
  ビジネスでは、よく信用第一とかいわれます。商売がうまくいくのも、人間関係がうまくいくのも、お互いに信用があるからです。約束を守る、誠実に対応する。嘘をつかない、裏切らない、有限実行することで信用は気づいていけますが、一瞬にして崩れることが起きるのも信用です。信用とは、職場や取引先などのあなたの周りの人々があなたを引っ張ってくれるために絶対に必要なものです。あなたは、リーダーとして上司、部下同僚、そして取引先などから信用されなければ、機会を与えてもらえません。信用されなければ、他人から協力・支援が得られません。信用無しでは、あなたがやりたいこと、仕事上でやらなければならないことを実行できるはずはありません。学生時代は、よくできる、頭がよい、偏差値が高い、出身学校の評判が高いことなどがあなたに対する評価となりますが、社会では、同僚、上司は、あなたに対する信用・信頼が評価の物指しとなります。
  同僚や部下があなたに同僚、上司あるいは会社に対して不平不満を言う場合、あなたをある程度信用しているから言っています。あなたが何とか対処してもらえるのではないかという信用(期待感)があるから言っているのです。どうせいっても無駄と感じるようになるともうあなたを信用しなくなり、相談すらしなくなるはずです。
お客様が会社に苦情・クレームをしたりする場合は、当社を信頼してくれている証と考えることです。私たちの会社なら何とかしてくれるだろう、改善してくれるだろうと信用しているからだと考えることです。そのような考え方で接すれば、きっとうまくいきます。物言わぬ人(サイレントクレーマー)は、あの会社は、どうせ言っても無駄だからといって、付き合うのをあきらめて黙って去ってしまうものです。辛口評価であってもアンケートに記入してくれお客様は、実にありがたいお客様なのです。

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