自主公開プログラム

2015年8月第一週

第29回:燃える闘魂〔経営の原点12か条の第8条〕

  

「燃える闘魂」の要点は以下のとおりです。
稲盛は、次のように経営者に対して諭します。『経営にはいかなる格闘技にも勝る激しい闘争心が必要です。人がよすぎて、喧嘩もしたことがないなどという人は、早い時期に社長の座を、もっと闘争心のある人に譲るべきです。いくらきれいごとを言っても、やはり経営には激しい企業間競争が伴いますから、例えば、従業員が2~3人しかいないという小さな企業であっても、経営者は、その従業員を守るため、すさまじいばかりの闘魂,闘志をもって、企業間競争に望まなければ、勝負にならないと思います。また、往々にして、企業が成長発展を遂げてまいりますと、闇の勢力がそれに目をつけ、触手を伸ばしてまいります。そのようなときに、企業を守るために格闘技の選手が持っているような闘魂に勝るとも劣らないほどの激しい気迫がどうしても必要になってくるのであります。
日本では、現在、そのような外的から従業員や企業を守るどころか、自らの保身に汲々とする経営者が非常に多くなってきております。企業不祥事を引き起こしても責任をとらず、むしろ部下が責任を取ってやめていくというケースが、大企業でもまま見受けられるのであります。これも、リーダーの選択を誤ったということではないかと思います。単に能力を持った人がトップになるのではなく、真の闘魂、つまり「命を賭して従業員と企業を守る」という気持ちと責任感を持った人が経営者になるべきなのです。そのような経営者でなければ、従業員の信頼を売ることは出来ないと思います。
今の日本に必要なのは、この「負けてたまるか」という強い思い、いわば「燃える闘魂」です。戦後の経営者たちはみんな、「なにくそ負けてたまるか」という闘魂を燃やし、互いに競い合い、切磋琢磨しながら、日本経済を活性化してきました』。稲盛は、このように経営を成功させるためには経営者自身が燃える闘魂魂を持ち続けなければならないと諭しています。
稲盛は、中村天風氏の「新しい計画の成就はただ不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに,ただ想え、気高く、強く、一筋に」の言葉に真の魂をいれることで、倒産して、悲嘆にくれていた日本航空の幹部社員から凄まじい闘魂を引き出すことに成功しました。どんな苦労があろうとも、どんな困難に直面しようとも、全員の力でこれを乗り越え、必ず日本航空を再建しようと率先垂範して訴え続けた結果です。私は、稲盛の日本航空再建のドラマがこの言葉に一言集約されているといっても過言ではないと思います。
経営の原点12か条の導入することで日本航空の経営幹部はもとより、社員一人ひとりに自分のためだけでなく会社のために、お客様のために何ができるのか、社会のために何ができるのかという心が根付いてきたことが、日本航空は高収益企業へと変貌した大きな要因といっても過言ではないでしょう。



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