自主公開プログラム

2015年1月第一週

第1回:「経営の原点12か条」の第1条:「事業目的・意義を明確にする」ことについて皆で考えよう

   ところどころ、私の解釈を入れて解説するところもありますが、基本的には、誤解が生じないようにするために重要と思われる部分は、稲盛の言葉をそのまま引用して経営の原点12か条を解説していきます。

   稲盛は、「経営には哲学(フィロソフィ)が不可欠であり、事業の成否を決するものです」といっています。自分の会社を立派にし、従業員も幸福にしていきたいと思うならば、トップである経営者自身が、自分の考え方を高めていく必要があります。
   そのためには、先ず、経営者自身が「事業目的・意義」を明確に示さなければなりません。全ての経営者が初めから崇高な事業目的・意義を持って会社を始めるわけではありません。中には「自分のやりたいことをやるために事業を始めたのだ」、「金儲けをしたいと思ったから事業を始めたのだ」、「家族を養わなければならないから、仕方なく始めたのだ」、「何かに挑戦するために始めたのだ」、「仕事が楽しいから始めたのだ」、「親の仕事を仕方なく引き継いだのだ」と始める動機は、経営者自身の人生観、置かれた環境によっていろいろあるかと思います。

  しかしながら、個人的事業から企業として事業を発展させていくためには、公明正大で大義名分のある高い目的へと変身していかなければなりません。
   稲盛は、当初は、技術者として「自分の技術を世に問う目的で会社経営を始めたといっています。稲盛はこのことについて次のように説明しています。「会社設立二年目に高校を出た、十名ほどの新人社員を採用し、彼らが一年余り働いてくれ、「ようやく仕事をも覚えたかな」と思い始めたところ、連判状のような書状を持って、社長に待遇保証を求めた団交を申し入れてきた事件が起りました。
   これがきっかけとなって、稲盛は、京セラの経営理念の内容も創業時の原点である「自分の技術を世に問う」目的から利他の心「全従業員の物心両面の幸福の追求」へと変わったといっています。「経営とは、経営者が持てる全能力を傾けて、従業員が物心両面で幸福になれるように最善を尽くすことであり、経営者の私心を離れた大義名分を企業は持たなければならない。そのような公明正大な事業の目的や意義であってこそ従業員の心からの共感を勝ち取り、全面的な協力を得ることが出来、経営者自身も堂々と胸を張り、何の躊躇もなく経営に全力投球できる」としています。

  松下幸之助をはじめ、優れた経営者の多くは、経営を「心の問題」と捉えており、経営者自身が心を高めることの大切さを説いています。
   このことは、なにも経営者にだけ当てはまることではなく、皆様が仕事を遂行する上でも大切なことです。また、人生でも同じことが言えるのではないでしょうか。 経営で「事業の目的・意義を明確にする」ことができれば、事業成功への第一歩を踏んでいることになります。

  人生においても、その組織の中で自分が働くことの目的・意義を明確にする」ことができ、社員一人ひとりが心を高めることが大切です。豊かな人生への第一歩です。私は、本来、マネジメントシステムは、孔子流マネジメントの考え方があってこそ生きた活用ができると考えています。

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