2015年1月第三週
第3回:お客様を幸せにすることで幸せな人生を送ろう
私が、ISO9000審査員研修コースを受講したのは、1991年8月でした。米国Stat-A-Matrix社が、カリフォルニアで開催したコースでした。Stat-A-Matrix社の最初の英国IQA認定コースだったと記憶しています。
そのコースは、朝早くから夜遅くまでの5日間の厳しい合宿コースでした。私は、コースカリキュラム、講師のプレゼンテーションに非常に感銘を受け、是非日本でもそのコースを開催したいと強く思いました。それから、紆余曲折を経て、一年後の1992年の9月、米国Stat-A-Matrix社の講師のRobert Marash 、Caplan先生を日本にお呼びして、審査員研修コースを試験的に開催することができました。
私は、当時は、米国系の日本支社で品質保証、第二者監査・検査の責任者をしていました。海外では、米国主導でM and A による企業間の合併・統合・業界再編などがもてはやされていました。私の当時の勤務先であったCP日本支社も、M/Aの渦中にありました。また、前の勤務先の上司が設立したグローバルテクニカルサービスの業務の引継ぎ・整理をしていた頃でもありました。 私は、国際的なISO認証スキームの審査員研修業務に大いにほれ込みました。サラリーマン人生に終止符をうち、1993年1月から、組織も株式会社グローバルテクノに改名して本格的にISO研修事業を開始しました。日本で、バブル経済がはじけた頃でもあります。私は、自分の生活の安定とその当時、集いあった仲間たちの生活のための事業経営でした。
今思えば、当時は、上から目線で少々どころか大分、高飛車的なところがあった事業経営だったと思います。それでも教育研修業界では、経営が十分出来た時代だったような気がします。創業5~6年過ぎて従業員も10人を越えたころですが、社員教育の一環としてあるコンサルタントに社員を集めて特別にお話をしてもらいました。
そのときの出来事で、当時の私の心の琴線に触れた言葉、考え方を紹介します。 コンサルタントが開口一番、研修会参加者の社員に対してあなたは誰から給与をもらっていますかという質問をしました。この質問に対して、社員の誰からも「会社からもらっています」、「社長からもらっています」、「株主からもらっています」というような紋切り型の回答しか出ませんでした。知らず知らずの内に、私たちの対応は、上から目線になっていたのです。
また、当時は、研修だけでなく審査業務も、上から目線の対応が当たり前となっていたような時代です。当時の私たちは、「お客様からもらっています」と応えることが出来なかったのです。私自身も含めて、数人の専属講師の活躍ですべてを稼いでいる意識が強く、知らず知らずのうちに高飛車対応となっていたのです。「お客様からもらっています」という言葉が、そのことを気づかせていただいた一言でした。
お客様あっての私たちです。同時にお客様は私たちがつくるものです。また、お客様から学びお客様に還元するものです。昔から、「お客様は神様」(お客様は金様)といわれますが、まさに、教育もサービス産業であり、その本質をついた言葉です。