2015年4月第一週
第13回:誰にも負けない努力をする〔経営の原点12か条の第4条〕
当たり前のようなタイトルですが、その教え、中身はすさまじいものです。それなりに努力していますという中途半端なやり方ではありません。稲盛氏は、企業発展の要諦のひとつとして「誰にも負けない努力をすること」を挙げております。また、この言葉は、稲盛氏の「六つの精進」の中にも出てきます。また、副題には、地味な仕事を一歩一歩堅実に、誰にも負けない努力を堂々と、たゆまず続けることとあります。稲盛氏の言葉を借りて説明します。「一年365日、堂々と続く「誰にも負けない努力」は、必ずや皆さんの会社を、想像も出来ないほどの偉大な企業にし、また、経営者としての皆さん自身の人生も、すばらしい豊かなものにしてくれることを是非理解していただきたい。企業経営は、競争であります。競合企業が自分たち以上に努力すれば、中途半端な努力では、功を奏さず、企業は競争に敗れ、衰退していかざるを得ないのであります。単に「私なりに努力しています」という程度で、会社が伸びていくはずはありません。血で血を洗うような熾烈な企業間競争の中を勝ち抜き、成長発展を遂げていくには、やはり「誰にも負けない努力」でなければならないのであります。また、もうひとつ大切なことは、その「誰にも負けない努力」を日々絶え間なく続けていかなければならないということであります。言い換えれば、どんな偉大な仕事も、地道な一歩一歩の弛まぬ努力の積み重ねから出来ているということを忘れてはならないのであります。短い期間でもいいから全力で勝負を挑んでみたいと思って走り始めたところが、いつの間にかそれが習い性となって、そのスピードを持続しながら、今日まで走り続けることが出来るようなものです。習い性になるということは、他人から見れば、たいそう難儀なことをやっているように思えても、実はそのことが本人の喜びと楽しみに変化し、少しも苦にならなくなっていることです」。
稲盛氏は、誰にも負けない努力をすることこそが、その人の人生、会社運営を成功へと導く王道であるといっているわけです。世間を広く見渡すに、天才といわれる人ほど稲盛流の誰にも負けない努力の継続をしている一流、超一流の人々が数多くいます。
2011年の東京マラソンで一躍、時の人となったさいたま県庁勤務の市民ランナー川内優輝選手、仕事もがんばりながら、常の全力で走り続ける公務員ランナーです。アイスホッケー女子では、長年の努力・挑戦が実って、2014年ソチの冬季オリンピック出場が決まりました。スキージャンプのラージヒルでは葛西紀明選手が41歳で銀メダルを取りました。2014年11月8日に中国上海で行われたフィギュアスケートGPで日本期待の羽生選手が公式練習中に中国選手と接触・激突してしばらく起き上がれない状態であったにもかかわらず、強い意思で持って、フリー演技に出場して2位となりました。出場を続行すること事態が物議をかもしたが、普段から誰にも負けない努力をしているからこそできるものだと思います。また、テニス会では、錦織選手が脚光を浴びています。その舞台裏には主人公の凄まじい誰にも負けない努力のプロセスがあります。
特にスポーツ界では、観客に感動を呼び起こすさまざまなドラマがあります。主人公は誰にも負けない努力をすることで勝ち得たからこそわれわれ観客は感動します。