2015年7月第二週
第26回:楊震の「四知」(ようしんのよんち)で幸せな人生を送ろう。
2014年は、猪瀬東京都知事の辞任に続き、みんなの党代表の渡辺氏の辞任がありました。いずれの事件も賄賂と勘違いされてもおかしくない金銭にかかわる不祥事にかかわった結果です。これによりこれまでに築き上げてきた地位、名誉、信頼を一気に失ってしまいました。1997年にマネジメントシステムの必要性をアピールするために私が執筆した私のコラム(1997年3月号の月刊ISOMS雑誌)で当時世間を騒がした官僚の不祥事と絡んで「楊震の四知」という故事熟語成句を紹介しました。読み返してみましたが、勉強会の資料として使えるのでここに引用します。
「日本人には生気がないといわれる、特にバブル崩壊後にはたそがれの日本というのがぴったりの状態だ。だから一転変革に対応する術を身につけよう。たとえば、ISO9000に代表されるマネジメントシステムの応用が今こそ日本に求められるといえる。
岡光被告(元厚生省事務次官)をはじめ、多くの不祥事を起こした役人が「楊震の四知」(天知る,地知る、我知る、君知る)を座右の銘に仕事に精出しておれば…………………(このような不祥事を起こすことはなかっただろうに)….この基本原則を肝に銘じておれば、輝かしい立場から奈落のそこに落ちることはなかったわけだ。
書物によれば、中国の東漢(後漢)時代に楊震という賢人がおり、関西の孔子と言われ、当時の人々に尊敬されていた。楊震が郡守となったころ、管下の役人が来て、賄賂の金を贈って「夜分のことで誰も知るものはありません。何卒、お収めを・・・・」という。これに対し楊震は「天知る、地知る、我知る、子知る(君知る)。何ぞ知るなしといわん」との言をもってこれを断固拒絶した。今では、昭和時代の後半のバブル期(土地や株価の前代未聞の異常の値上がり)にこの国を治める官僚・公務員の綱紀粛正、金銭感覚が麻痺してしまい、戦後の日本の繁栄に大きく寄与してきた霞ヶ関が集中砲火を浴びている状態だ。世紀末(2000年)にかけて、日本の政治・完了システムおよび産業構造は改革を迫られているのである。
是正処置の一環として、綱紀粛正が取りざたされ、接待規約の改良作業が行われていることが報じられているが、これはすべて約束事に他ならない。実行しないとこれだけでは(約束だけでは)、片手落ちである
フランスのことわざに「約束と履行は別事なり」、イギリスのことわざに「たやすく約束することは、たやすくこれを忘却す」さらにドイツのことわざには、約束は負債なり」というものがある。したがって、PDCAを循環させないと、元の木阿弥になってしまう。
行政でも、ISO9000シリーズ(品質システム)の考え方を是非取り入れて、単なる約束事で終わらせないことを望む。施政者による税金の無駄使いや、一部の人々の私腹を肥やす
ために使われていることに怒りを覚えて仕方がない」。以上は、岡光事件に関して当時(20年前)の私の心境でもあるが、「楊震の四知」の「天知る、地知る、我知る、子知る(君知る)。何ぞ知るなしといわん」は人生の心構えとして大事なことですのであらためて取り上げました。単なる知識でなく実行(知行合一)できる人を目指しましょう。