2015年8月第三週
第31回:心を知的に耕して美しい花を咲かせて幸福な人生を送ろう
19世紀で活躍したイギリスの作家で哲学者のジェームズ・アレンは、「原因と結果の法則」でよく知られた思想家でもあります。多くの成功者に多大な影響を与え、現代哲学の祖といわれる彼は、思考は人間の一生を決定付けるとしています。
私は、今から10数年前、60歳近くになって初めて触れたジェームズ・アレンの「原因と結果の法則」に、大いに感動しました。今でも読むたびに心の琴線に触れる文章ですのでここに紹介します。
著書の中で、「心を整える」ということを、ジェームズ・アレンは次のように表現しています。
「人間の心は庭のようなものです。それは知的に耕されることもあれば、野放しにされることもありますが、そこからは、どちらの場合にも必ず何かが生えてきます。
もしあなたが自分の庭に、美しい草花の種を蒔かなかったなら、そこにはやがて雑草の種が無数に舞い落ち、雑草のみが生い茂ります。
優れた園芸家は、庭を耕し、雑草を取り除き、美しい草花の種を蒔き、それを育みます。
私達も、もし素晴らしい人生を生きたいのなら、自分の心の庭を掘り起こし、そこから不純な誤った思いを一掃し、そのあとに清らかな正しい思いを植えつけ、それを育み続けなくてはなりません。」
素晴らしい人生を送りたいと思うなら、あたかも庭を耕すように、心の中にもたげる、「悪しき思い」という雑草を取り除き、「善き思い」という種を蒔き、それを大切に育み続けることが大切だと、ジェームズ・アレンは述べています。
「知的に耕す」とは、理性を持って自分自身に、「そうあれ」と繰り返し言い聞かせることです。ジェームズ・アレンは原因と結果について、「私たちがこれまで考えてきたこと(原因)が、私たちを、いまの環境(結果)に運んできたのです」といっています。 「自分の現在(の環境)は、自分の過去の行動の積み重ねの結果として生まれている。行動は思考から生まれる」ということです。
心は、創造の達人です。私たちは、心、想いという道具を用いて人生を形作り、その中で、さまざまな喜びや悲しみをみずから生み出しています。私たちを取り巻く環境は、真の私たちを映し出す鏡にほかなりません。私たちは考えたとおりの人間になります。
稲盛一夫もまた、心のあり方について、ジェームズ・アレンの哲学「原因と因果の法則」をよく引用して次のように語っています。
「私自身も技術者、研究者、また経営者として非常に合理的な物事の考え方をする人間です。この考え方は、「人間の心のあり方」が人生にとって最も大切だという真理とは、決して矛盾はしない、理にかなったことであると信じています。そのように思い、私は毎日神様に感謝しながら、少しでも自らの心を美しいものにしようと努めています。」といっています。