2015年9月第四週
第36回:人生三部作を知り幸せな人生を送ろう。
論語では、知るということは、学んだ知識を実行・実践することができることを意味しています。
実行できることが知ることであり、現在使われている「知る」とは意味がだいぶ違います。知識ではなく、「胆識」、即ち「知行合一」ができて初めて知るということになるわけです。
今回は人生三部作として取り上げられる孔子の教えを以下に紹介します。
「子に三戒あり。少なき時は、血気いまだ定まらず、これを戒(いまし)むること色にあり。
その壮なるに及びては、血気まさに剛なり。これを戒むること闘いにあり。
その老いたるに及んでは、血気すでに衰(おとろ)う。これを戒むること得(え)るにあり。」
上記の教えは、ある意味では、人生の縮図でもあるような気がするので取り上げることにしました。解説無しでなんとなくわかるような気がしますが、以下、説明します。
君子(リーダー、指導者の類)の三戒として、守るべきこととして、
少なくとき(青少年時代)は、迷いが多く確固たる人生指針もできていないため、若気の至りでとんでもないことをしたりするものです。
小さいときは、いろいろ学び知識を蓄えても、いわゆる頭でっかちの域をこえることがなく、失敗を繰り返しながら学んでいくものです。
青少年時代は、体内では、組織形成のために細胞分裂が盛んに行われ成長していきます。
精神的にもまだまだ未発達状態で、世の中を知らなくて若気の至りといわれるように失敗をしがちな時期でもあります。
即ち青少年時代は、特に精神的には、未発達状態であるが、肉体的には成長期で精力盛んなときでもあります。
欲望(快楽、異性関係、ギャンブルなど)におぼれないようによく注意をすることが大切なことだと教えているわけです。
その壮なるに及んでは(中年になる)と、やる気満々になり、多くのものを手中に納めようとするのも人間の性です。権力闘争に陥らないように注意を要しなさいと教えています。
権力闘争に明け暮れて仲間割れ、裏切りなど頻繁に起こさないように注意を要する時期であります。
其の老いたるに及んでは(老年期でなると、年を取ってくると)、細かいことにこだわり、金銭的にもみみっちくなる人がいます。
功績を認められたいために、あるいは勲章をもらうためにあれこれ金銭的に画策する老人に対する戒めでもあり、名誉欲に取り付かれ、晩年を汚さないように注意しなさいと教えているわけです。
いずれの時代にも共通するのが、人生を青少年期と、壮年期、老年期に分けて、人生一生勉強と教える金言です。
私の好きな言葉の一つでもあります。
「少にして学べば、なすことありけり。壮にして学べば老いて老いを知らず。老いて学べば死して朽ちず」。
これは、佐藤一斉の「言志四録」にある一節ですが、時の総理である小泉首相が演説・会見の中で引用したことで、広く世間に知られるようになったといわれています。