2015年10月第一週
第37回:常に創造的な仕事をする〔経営の原点12か条の第10条〕
今日よりは明日、明日よりは明後日と常に改良改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる。
今月は、経営の原点12か条の第10条を解説します。稲盛はこのことを説明するのに一見工夫のしようがない
雑事のように思える掃除を例に出して以下のように説明しています。毎日同じ様な掃き方をするのではなく、
今日はこう掃いてみたけれど、明日はこうやって見よう、明後日はこうしてみようと、
少しずつ能率が上がる方法はないかと考えてみる。
365日毎日少しずつ能率が上がる方法はないかと考えてみる。
365日毎日少しずつ掃除のやり方を改善してみようと努めると、様々な創意工夫が浮かんでくるはずであります。
一日の工夫は、わずかなものでありますが、改良改善が一年積み重なれば大きな変化を遂げているはずです。
これは掃除だけでなく、営業、製造、開発全ての分野について言えることです。
また、世の大発明や大発見というのも、そのような地味の努力の積み重ねで出来ているものであります。
皆さんが属する企業がどのような産業に属するにせよ、同じことを同じ様に毎日繰り返してはならない。
常に創造的な仕事をするということを企業方針にして明確にうたい、率先垂範、経営者がその模範を
示していけば、3~4年後には、必ずやすばらしい技術開発が出来る企業に生まれ変わっているはずであります。
京セラも今日、ファインセラミックスにとどまらず、太陽電池や、携帯電話、複写機など、広範な技術領域に
わたる、多角的な経営を進めていますが、もともとは、稲盛の専門だったファインセラミックスという
狭い領域の技術しかもっていなかった企業なのであります。
つまり、独創的な製品開発や創造的な経営などが最初からできるのではなく、そのようなことを皆さんが
日々真剣に求め、創意工夫を弛まず続けられるかどうかが鍵となってまいります。
稲盛は、この想像性ということに関して、「未来進行形で考える」ということを、よく話します。
自分の現在の力をもってして、将来なにが出来るかというと考えるのではなく、今はとても出来そうもないと
思われる高い目標であっても、未来のある一点で達成するということを決めてしまうのです。
そして、その一点にターゲット絞り、現在の自分の能力をその目標に見合うまで高める努力を続けていくのです。
現在の自分の能力をもってして、できるか出来ないかを判断しては、新しいことはできません。
今は出来ないものを何としてもやり遂げたいという、強い思いからしか、輝かしい未来は決して開けないのです。
以上、稲盛の言葉をそのまま引用して説明してきました。
私たちが生業としているISO規格のマネジメントプロセス、システムも、ダイナミック活動の一環としてとらえて、
創意工夫を持って改善していかなければ決して経営に役立つシステムとはなりません。
マニュアルに従って仕事をするだけでなく、もっとよいやり方はないかを常に考え、必要な改善をしていくこと、
即ち、常に創造的な仕事をしなければ組織は成長しないでしょう。