2015年10月第三週
第39回:言葉の由来を知ることにより幸福な人生を送ろう
前回、切磋琢磨について触れましたが、私たちが使っている日本語のほとんどは、なんらかの出来事、事象に由来していると思います。
「まことに日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」(今日の行いは昨日より新たによくなるように、明日の行いは今日より新たによくなるように修養に心掛けること)。
「日新」という言葉の由来は、ここから出ているといわれています。
中国古典の四書五経のひとつである「大学」に記された史実によると、今から、およそ3500年前に中国の「殷王朝(いんおうちょう):商王朝とも言う」を創建した「湯王」がこの言葉を洗面器に彫って毎朝心の羅針盤にしたといわれています。
日新のつく社名は結構ありますが、日新の言葉の由来、本来の意味を知っている人はあまりいないかもしれません。
たかが日新、されど日新、書物によるとなんと3500年前の中国「殷」の王様が愛用した深みのある言葉に由来しているのです。
当社グローバルテクノ本社(東京中野)の近くに「santoku」という名前の食品スーパーがあります。
孔子は、君子として持つべき三つの徳として、「仁、智、勇」即ち、「仁者は憂えず、知者は惑わず、勇者は恐れず」(仁徳のある人は、悩まない、聡明な人は惑わない、勇気のある人は恐れない)としています。
このスーパーの創業者は、この三徳にちなんで名付けたかもしれません。
儒教は孔子の教えをベースにしたもので、成功人生を送るための教えであり、仏教と同じく古来より日本の伝統的な道徳的精神の柱となってきました。
また、ちなみに、戦国武将伊達正宗は、家訓として五常五徳の「仁、義、礼,智,信」を重んじた人でもあります。仏心を育んだ徳川家康は、「人生は重い荷物を背中に背負って坂を上るがごとき」といっています。
孔子は、人生について「川のほとりで、逝(ゆく)者はかくのごときかな。昼夜をおかず」といっています。
私の勝手なこじつけですが、仏教、儒教を深く学んだ徳川家康の「徳川」の姓は、人間として、指導者としての「徳」と孔子が人生のたとえとして読んだ「川」にちなんで名乗ったとしても不思議ではありません。
人名、社名の語源の由来をしることは、言葉の深みを知り楽しいものでもあります。
縁あって、数年前にシニア青春の仲間で靖国神社を見学しました。
靖国神社の境内に、太平洋戦争の歴史の展示物の「遊就館(ゆうしゅうかん)」があります。
この「遊就館」は、中国の古典「荀子」の「君子、居るに必ず郷をえらび、遊ぶに必ず士に就く」から名付けられたと紹介されています。
また、年齢を表す言葉として、志学:15歳、而立:30歳、不惑:40歳、知命:50歳、耳順:60歳、従心:70歳がありますが、これは、孔子の「吾、十有五にして学に志、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り、六十にして耳従う、七十にして心の欲するままに従いて矩を超えず」に由来した言葉です。
70歳は、どちらかといえば古希というのが定着していますが、杜甫の詩(人生七十古来稀なり)に由来しています。
最後に、余談ですが77歳は喜寿、80歳は傘寿、88歳は米寿、90歳は卒寿、99歳は、白寿、これらは全て日本語(漢字)の言葉の遊びが語源となって出来た言葉です。