2023年9月4日
3.お客様を幸せに/常に謙虚でありたい
私自身、社会人としてのキャリアの20年間はグローバル企業の財務部門で勤務してきました。そのため、
ISO審査という具体的な業務には直接関わっていませんでしたが、内部監査、会計監査、税務調査の受審は
年間を通じて経験してきました。これらの経験は、監査自体を受けるという点ではISO審査と類似しています。
個人的な経験から、会計監査を受ける中で感じたことがあります。監査人の能力や経験は個々に異なり、
その指摘や判断が必ずしも正確であるとは限りません。それは、会計監査人は会計ルールや会計の専門知識
については深い理解を持っていますが、特定のビジネス領域の知識については現場の担当者には及ばないことが
多いからです。さらに、監査人が多くの監査を行っていることから、「確証バイアス」や「類推バイアス」が
働くことがあります。これは、自分の信念に基づいて誤った判断を下したり、類似の事例を過度に当てはめたり
する傾向を指します。私が良い信頼関係を築けたと感じる監査人は、常に謙虚で冷静な姿勢を持っていました。
稲盛塾長のフィロソフィーの中に「常に謙虚であらねばならない」という言葉があります。高い能力と
専門性を持っていても、傲岸不遜になってはならないというのがその理由です。そうなってしまうと、審査を
受ける方々とのコミュニケーションに亀裂が生じ、良好な審査を実施することができません。審査員は公平で
信念に基づく判断を下さなければならない一方で、その判断が必ずしも受審組織の納得を得られるものである
とは限りません。しかし、私たちISAの審査員は常に謙虚な姿勢を持ち続け、なぜある判断が下されたのか、
何が問題だったのかを明確にコミュニケーションすることで、お客様との信頼関係を築くことを目指しています。