2024年3月1日
9.第3条:強烈な願望を心に抱く
京セラ創業者の稲盛和夫氏が残した経営の12か条の第3条は“強烈な願望を心に抱く”があります。思いを実現する
ためには、繰り返し、繰り返し、考え抜き、それを潜在意識にまでしみこませることによって強烈な力を発揮し願望
を実現させることができると説いています。
顕在意識と潜在意識の説明として稲盛さんの著書「成功への情熱」(PHP研究所, 2007)の中では、自動車の運転
の例が述べられています。初めて運転するときには、ハンドルの操作、道路の状態、対向車、その他さまざまな条件
下で顕在意識をフルに働かせて運転するため短い時間を運転するだけでも疲労困憊になってしまいますが、繰り返す
うちに潜在意識が即座に状況を判断し、過去のパターンから手足が自動的に動いてくれます。また、将棋の升田幸三
名人の発言から、名人の顕在意識が仮説を立てるよりも前に、潜在意識は直感で正しい手をはじき出していた事が述
べられています。
同じ将棋界の偉人として羽生善治名人の著書「大局観」(角川新書, 2011)で、やはり直感についての記述があり
ました。「直感とは、数多くの選択肢から適当に選んでいるのではなく、自分自身が今までに積み上げてきた蓄積
のなかから経験則によって選択」しており、「研鑽を積んだ者でなければ直感は働かない」と語っています。
つまり、まずありたい姿の強烈な願望を抱き、その願望の実現のために、繰り返し、繰り返し考え、研鑽を積むこと
で、そのプロセスが潜在意識にまでしみこみ、直感力が磨かれるということになります。また、羽生名人の著書では
直感を磨くためには、経験を積むだけでなく、検証のプロセスが重要であると述べています。棋士であれば感想戦を
通じて自分の手を検証、反省することで直感が磨かれていくと語っています。
上記のサイクルは企業体のマネジメントシステムを構成する需要な要素だと改めて考えさせられました。つまり
経営者が強烈なVision/目標をかかげ、実現のための仮説・計画・戦略を立て、実践し、検証を通じて、さらなる目標
のための計画を行っていくというPDCAの繰り返しによって組織文化を形成することが事業の成功には不可欠であるこ
とを強く意識して頑張ってまいりたいと思います。