自主公開プログラム

2024年4月1日

10.人にして信なくんば、その可ならざるを知らざるなり

   2024年4月になりました。新しい年度の始まりです。日銀の金融政策の転換、企業に広がる賃上げ、日経平均
4万円越えと経済状況は変化が見られる中での新年度のスタートとなりました。多くの新入社員がビジネスマンとして
のスタートを切る中で、私たち初心を忘れずに新しい気持ちで頑張っていきたいと思います。
   今月のコラムのテーマは信義・信頼です。信頼関係がなければ企業経営は成り立ちません。稲盛氏はその著の中
で、”信頼は自らの内に築く”と述べています。

   “私は、最初、信じられる仲間を作ろうと思いました。つまり、自分の外に、信頼関係を求めたのです。しかし、
そうではありませんでした。自分自身の心が、誰からも信じてもらえるようなものでなければ、信じあえる人たちは
集まってこないのだと気づきました。信じられる人間関係とは、自分の心の裏返しだったのです。
   私も人に裏切られたことは、何回もあります。しかし、それでも構いません。人を徹底して信じていこうと考えて
います。“ 「心を高める、経営を伸ばす」(PHP研究所)

   一方で稲盛氏は不正が起こりうるものとして、そのうえで”人に不正を起こさせない管理システム”の必要性を
語っています。

  “ところが残念なことに人間はつねに完全ではない。いくら立派なことを言っていても、誘惑にかられ、魔が差し
てしまうかもしれない。不正を犯してしまうかもしれないのである。このことは不祥事を起こした人々を調べれば
よくわかる。誰も最初から不正や犯罪を犯そうと思っていたわけではない。・・・中略・・・
 なぜなら会計において万全を期した管理システムが構築されていれば、人として不正をおこさせないからである。”
「盛和塾季刊誌 第77号 p45-46」

   このコラムを書いている数日前に、大谷選手の通訳である水原氏が違法賭博で大谷選手の口座から450万ドル
(7億円相当)を使い込み、解雇されるという衝撃的なニュースがありました。大谷選手が水原氏を信頼しており、
その信頼関係が大谷選手自身の成績にもプラスの効果を与えていたと思いますが、管理システムが構築されていな
かったことが大きな被害をもたらしてしまった要因でしょう。

   経営においても自分自身が信頼に足る人物であり続けるかを常に問うていかなければならないと考えています。そ
して、社内で信頼関係を築いていくこと、社員を徹底的に信じていくことが必要です。一方で人間は常に完全ではな
く、不正、不祥事を起こさない仕組みを構築していくことが求められていると思います。これらの考え方はマネジメ
ントシステムの構築においても重要な要素だと考えています。

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