2024年5月2日
11.志を高く(次元の高い目的をもつ)
2024年5月になりました。新年度が始まり1か月がたち、ゴールデンウイークに突入です。海外旅行に行かれて
いる方も多いのでしょうか。経済的には、長年続いた異次元の金融緩和の影響ともいわれますが、160円に迫る極度
の円安が悩ましいところですね。
今回のコラムのテーマは”志”です。 ”志” の語源は、心がある方向を目指す意味の「心指す」にあるようです。英語
の辞書では”Ambitious”などと訳されますが、最近の経済学者の文脈では”Purpose”を用いようという動きもあるよう
です。
単純に“志を高く持ちましょう“と言うと、”まあ、そうだよね”と軽く受け流してしまいがちだと思いますが、一流
の方々がもっている”志”は、まさに異次元のものです。
プロ野球界の話になりますが、昨年4月に、日本国内では読売ジャイアンツで活躍し、メジャーリーグではニュー
ヨークヤンキースの主軸として長年活躍した松井秀喜が、自身の野球人生と大谷選手の活躍を語る中で”私は志が低
かった”と語っていたそうです。私のような一般人レベルでは松井選手の“志”が低いとは信じがたいことですが、一流
人独特の反省・後悔があるのかもしません。なお、大谷選手は4月21日にその松井選手の持つ日本人のMLBホームラ
ン記録を超える176号を達成しています。
企業経営に当てはめますと、京セラの創業者稲盛さんもその著の中で次元の高い目標を持つべきだと語っていま
す。高い目標ではなく次元が高い目標が必要です。“堂々と公言できる立派な目的であれば、誰に遠慮することなく、
エネルギーを高めていくことができます。そのためにも、経営の目的は、次元の高い方が良い”(心を高める、経営を
伸ばす, PHP研究所)。
では、どのようにすれば次元の高い目標を達成できるのでしょうか。1つの手がかりとして、バックキャスティング
という手法が注目を浴びています。この手法では、まずは将来の高い目標/ありたい姿/あるべき姿を設定して、現状
とのGAPを把握して、将来のありたい姿から現状までの差を埋めるために何をすべきか遡って考えていくという手法
になります。パリ協定で定まった2050年までにCO2排出量を0にするという目標は、まさにこの手法がとられている
のだと思います。
実は、同様の話を、京セラ創業者の稲盛さんは、「未来進行形でとらえる」と表現をしています。“つまり、目標と
なる未来のある一点にターゲットを合わせ、現在の自己およびグループ能力を、テーマに対応できるようになるまで
高める方法を考えなければならないのです。” (心を高める、経営を伸ばす, PHP研究所)
“次元の高い目標をもつ”、“未来進行形でとらえる”、このことが”志”の真意であり、私たち企業、組織、個人は常に
意識していく必要があるのだと思います。