自主公開プログラム

2024年8月2日

14.言葉はベクトル「座右の銘」

   2024年も8月に突入です。非常に暑い日が続いています。
思い返せば7月は東京都知事選挙があり、新札が発行され、トランプ大統領の暗殺未遂事件あり、バイデン大統領の大
統領選の撤退、パリオリンピックの開幕などなど、様々な出来事がありました。

   さて、今回のテーマは座右の銘です。
座右の銘とは、いつも自分の身近に書き記して、自分の戒めとする言葉のこと。座右の銘の「座右」とは座席の右側
のことで身近、そば、かたわらといった意味を持ち、「銘」は、戒めなど心に刻みこんだ言葉のこと(実用日本語表
現辞典)だそうです。英語ではMotto, Sloganが近い意味になるようです。

   常に戒めとして心に刻んでいるという意味では、座右の銘を持つことは自分の人生の指針になります。京セラ稲盛
さんは最後は人間として正しいかどうかの判断基準で物事を決めると語っていましたが、座右の銘を持つことで判断
に対する迷いや悩みは薄まり自身の決断や行動の道しるべとなることでしょう。

   少し視点がそれてしまいますが、自然言語処理の分野では言語をベクトル化することができます。今回は、著名人
が心に刻んでいるそれぞれの座右の銘を数値化し分類してみたら面白いと思い試してみました。16名の著名人(都知
事選の3候補小池氏・石丸氏・蓮舫氏、アメリカの政治リーダ3名(バイデン氏、トランプ氏、ハリス氏)、日本の岸
田首相、安倍晋三元首相、新札の顔の3歴史人(渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎)、稲盛和夫、中村天風、スティー
ブ・ジョブス、上杉鷹山)の座右の銘(厳密には座右の銘を表明している人は座右の銘を、座右の銘が調べられな
かった人は名言を取ってきています)をベクトル化し、主成分分析で可視化しています。

   言葉のベクトル化には、自然言語処理(NLP)の技術を用いています。具体的には、各座右の銘や名言を
Word2VecやBERTなどの埋め込みモデルを使ってベクトル化し、そのベクトルを主成分分析(PCA)にかけて次元を
削減し、可視化しています。PCAの第一成分(PCA Component 1)と第二成分(PCA Component 2)は、それぞれ
言葉の持つ意味的な違いを捉えており、このプロットを通じて、各人物の言葉の特徴を視覚的に比較することができ
ます。


(図をクリックすると拡大できます)


   結果として、ドナルド・トランプと小池百合子氏の言語の類似度は近い、岸田首相と石丸氏の言語は対局、渋沢栄
一と稲盛和夫氏の言語の類似度が高くなりました。正直なところ単なる1文章で人間のスタイルを区分してしまうの
は無理がありますが、データの幅をその人の著書や日々の言動までに拡げて厚みを持たせることができれば、リー
ダーシップ研究や心理学、社会学の分野でも応用可能かもしれません。

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