自主公開プログラム

2025年3月3日

21. 値決めは経営(経営の原点12か条の第6条)

今回は京セラ創業者である稲盛和夫氏の経営の原点12か条の第6条 値決めは経営をテーマに筆を進めていきたいと
思います。2025年2月のいま、物価上昇や利上げ、インフラ問題、さらには米国による追加関税の動きなど、経営
環境はますます複雑になってきました。こうした状況だからこそ、改めて「値決めは経営」という基本に立ち返る
タイミングではないでしょうか。

最近の報道によると、東京都区部の消費者物価指数は前年同月比+2.2%とやや落ち着きの兆しがあるものの、食品の
値上げはまだ続いているそうです。日本銀行の金利引き上げもあり、企業にとってはコスト面でのプレッシャーが
一段と増しています。さらに米国では、中国産だけでなくカナダやメキシコからの輸入品にも追加関税をかける動き
があるようで、輸出入のバランスを考え直す必要に迫られている会社も多いことでしょう。

こうした激動の中で、「自社の商品やサービスをいくらで提供するか」という“値決め”は、経営者が担うもっとも
難しく、しかしやりがいのある仕事だと思います。先代社長がよく引用していた稲盛和夫氏の言葉に「値決めは
トップの仕事、お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である」というものがありますが、この一言に私も何度
も背中を押されてきました。

結局のところ、値決めは経営者が最後まで責任を持って行わなければならない意思決定です。現場から上がってくる
数字やお客様の声に耳を傾けつつも、最終的にはトップが腹をくくる必要があります。これから先、物価や金利、
関税など不確実な要素は増える一方かもしれません。それでも、お客様に満足してもらえるラインと、自社が健全に
利益を確保できるライン。その両方を丁寧に探ることが、経営に必要不可欠ではないかと思います。

「値決めは経営」という稲盛氏の教えを、2025年という時代にどう生かすか。私たち自身、まだまだ試行錯誤が続き
そうですが、お客様も企業もともに幸せになるような「一点」を目指して、これからも地道に取り組んでいくつもり
です。

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