2025年9月3日
27. 燃える闘魂〔経営の原点12か条の第8条〕
今回のテーマは「燃える闘魂」です。稲盛経営の原点12か条の第8条となります。
2013年に毎日新聞社から出版されている稲盛和夫著「燃える闘魂」を改めて読み返しました。
著者は経営破綻に陥った日本航空を再建した経験をベースに、日本経済を再生するための提言を本書に書き記してい
ます。
同氏は、中村天風の「新しい計画の成就はただ不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに、ただ想え、気高く、強
く、一筋に」という言葉を引用し、絶対に再建を成し遂げるという思いを社員に訴えかけることで、日本航空を再建
に導きました。その思いのベースにあったものは、絶対に社員を守りたい、そして日本経済を再生する一助としたい
という「純粋な」思いでした。
稲盛は日本人が「燃える闘魂」を失ってしまったことが日本経済衰退の一因であり、その思いを取り戻すことが日本
経済再生のために必要と述べています。一方で、「燃える闘魂」に対する注意点も述べていました。
厳しい企業環境において勝ち抜き・生き残るために「燃える闘魂」は必要不可欠ですが、その大前提として「燃える
闘魂」を制御する「徳」が必要であると書かれています。同氏曰く「燃える闘魂」は、誤って限界を超えれば、組織
のみならず社会までも破滅させてしまう危険があり、その根底には、高邁(こうまい)な精神、いわば「徳」が必要
不可欠であるとも述べています。この精神は、中村天風の「気高く、強く、一筋に」に表現されているように思いま
す。困難な課題に立ち向かう「強さ」と目標への「一途さ」、そして何より社会全体への配慮という「気高さ」を兼
ね備えた「燃える闘魂」が日本経済の再生に求められるのでしょう。