自主公開プログラム

2023年12月1日

6.「管理保証システム」としてISOマネジメントシステムの活用

   2023年の瀬も迫ってきました。早いものであと1か月もすれば新しい年を迎えることになります。皆様にとって
どのような年だったでしょうか。

   さて今回は6回目のコラムになります。本コラムは、主題を先代社長のコラムと同様としつつ、私の知見・考え・
解釈を踏まえて記載しております。今回のテーマは「管理保証システム」としてのISOマネジメントシステムの
活用です。

   本題に入る前に、当社の主力の認証事業であるISO9001の歴史に触れたいと思います。ISO9001の最初の発行は
1987年で、当時の主たる目的は「品質保証システム」そのものだったそうです。しかしながら、「品質保証シス
テム」の考え方では、品質を保証するための手順を確立が目的となってしまい、各種手順を記載した書類を大量発行
するなど作業の非効率化と現場への作業おしつけによる経営陣の責任逃れという問題が発生しました。

   そこで、ISO 9000-2000年の改定では、顧客満足を目標とした「管理体制」であるということ強調し、「品質
マネジメントシステム」とし、トップマネジメントによるコミットメントという言葉を入れることで、経営者の
責任の明確化が図られました。
 先代社長のコラムの意図としては、ISOマネジメントシステムの認証を、品質保証、お墨付き効果という点のみに
主眼をおくのではなく、顧客満足を目標とした管理体制として確立・活用すべきでその仕組みの中でトップマネジ
メント(ミドルマネジメントも含めて)が責任をもって「管理体制」を構築する必要があると理解しています。

   品質保証に主眼を置きすぎると、内部業務の非効率化、製造・納品スピードの低下、コストの増加につながり、
事業競争で勝てないばかりか、顧客満足を下げることにもつながりかねません。

   例えば、ある外資系製造業の担当者に聞いた話ですが、その企業においては“製品が壊れる(故障)”は顧客満足や
ローヤルティの悪化につながらず、むしろ修理対応や保守部品の速やかな提供によって顧客ローヤルティを向上
させることができると考えているそうです。

   また、私は前職外資系のパソコン企業におりましたが、日本のパソコン製造企業がシェアを失った要因の1つは、
顧客満足度につながらない過剰品質・過剰機能にあったとも言われています。

   もちろんISOマネジメントシステムにおいて、規格の要求事項は順守する必要がありますが、要求事項順守のため
その管理体制が適切なのかどうかは、トップマネジメントを中心に定期的にチェック・改善することが重要です。

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