自主公開プログラム

2023年11月1日

5.具体的な目標を立てる

   京セラ創業者である稲盛和夫氏の教えに「経営の原点+二ケ条」があります。第―条は、第1回コラムで書いた
「事業目的・意義を明確にする」、第二条が今回のタイトル「具体的な目標を立てる(副題:立てた目標は常に
社員と共有する)」になります。この内容をそのまま続けると先代のコラムの内容と全く同じ中身になってしまう
ので、私自身が世の潮流の変化から面白いなと感じたことを述べたいと思います。

   先代のコラムにも記載がありますが、稲盛氏は長期の目標は不要という考え方をとっていました。長期の目標を
たてても、必ず、予測を超えた市場の変動や不測の事態が発生し、計画自体が意味をなさないものになってしまう
というのがその理由です。

   実はここ数年日本では、中期経営計画不要論が強くなっているのも事実です。経済学者や有識者がたびたびこの
観点で議論を進めています。また今年、食品大手の 味の素は中期経営計画(中計)の策定を廃止しました。
「精緻(せいち)に数値を積み上げすぎて、現場が疲弊している」(藤江太郎社長)と語っており、稲盛氏の危惧
した内容とも合致します。

   一方で興味深いのは、京セラが、同社初となる中期経営計画を5月16日に発表した点です。気候変動や地球環境の
問題から2030年、2050年といったマイルストーンでの長期視点が重要になってきている今、稲盛氏が存命であった
場合に、必ずしも中計不要と考えるかはわからないと感じています。そもそも、稲盛氏の意図は「反故になるような
計画は立てない方がいい」であり、「中期計画を立てるからには必ず達成させる」という意思表示になるようにも
思います。

   大切なことは、目標を明確にすること、そして立てた目標は必ず達成するように具体的なアクションをともなって
遂行すること。そのような強い心構えをもって事業を遂行してまいりたいと考えております。

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